こんにちは!大阪のモノづくり職人、クールスマイルです。
今回は久々に、本格的な「治具(じぐ)」のモデリングと3Dプリントの現場をお届けします。
実は、10年以上前に設計して使っていた「PVCクリアウォッチ治具」のデータがあるのですが、当時に比べて現在は3Dプリンターの性能もスライサーソフトも格段に進化しています。そこで、最新のBambu Labのプリンター環境に最適化させるため、Fusion 360を使ってデータを大幅に改造・改良することにしました!
一発でバシッと決めるための職人技の微調整から、大型サイズゆえの「分割モデリング」の工夫まで、設計の裏側を詳しく解説します。
課題:プリンターのサイズを超えてしまう!
今回の治具、のギスで実際のサイズを測ってみると、横幅が約381mmもあります。 いくら最新の大型3Dプリンターを導入したからといって、このサイズを一発でそのまま印刷するのは不可能です。
そこで今回は、「真ん中でぶった切って左右分割してプリントする」という作戦をとることにしました。
単純に半分に切るだけに見えますが、ここがモノづくりの難しいところ。樹脂の収縮や3Dプリンターのクセを考慮しないと、印刷したあとに左右がうまく噛み合わなかったり、寸法がズレたりして使い物にならなくなってしまいます。
Fusion 360での微調整と職人技のクリアランス設定
まずはデフォルトの準備として、DXF形式で保存してあった元データをFusion 360に読み込ませることからスタート。
久しぶりにFusion 360を触ると、AI機能などが混ざってきていて進化を感じますが、やはり細かい調整は人間の手(職人技)が必要です。
1. コンマ数ミリ単位のサイズ拡張
樹脂の特性上、ジャストサイズで設計すると3Dプリンター出力時にキツキツになってハマらなくなります。
- 横幅のベースとなる「336mm」に対し、コンマ5mm広げて「336.5mm」に設定。
- 最外径の「374mm」では確実にはまらないと判断し、計測を重ねて「377mm」へと修正。
この「コンマ5mmをどう攻めるか」が、後々3Dプリンターで出力した際の微調整カウンターとして効いてきます。まさに過去の経験則が活きるポイントです。
2. 真ん中で「0.5mm」のクリアランスを空けて2分割
左右対称ではない構造のため、真ん中でズバッとまっすぐ切っただけでは組み合わせたときにズレが生じます。 そこで、中央の切断部にあえて「0.5mm」のクリアランス(隙間)を設けるようにモデリングし、位置ズレの対策を施しました。
3. 穴位置の再構築
最後の最後でデータ上の穴(3mm径)がうまく押し出せないトラブルが発生したため、アクロバットな手法ですが、基準線を入れ直して「3.1mm」の丸を等間隔で5個きれいに再配置!これによって穴の出力も安定するように改良しました。
Bambu Studioでのスライス設定とリスク回避の判断
モデリングが完了したら、メッシュ保存(STL/3MF)してスライサーソフト「Bambu Studio」へ流し込みます。
今回は黒のPLAフィラメントを使ってガッチリとサイズを狂わせずに印刷していきます。
左右両方のパーツを一度にスライスすると、トータルの印刷時間は約6時間。 ここで職人としてのリスク管理です。 「もし6時間かけて印刷して、途中で失敗したりサイズが合わなかったらフィラメントも時間も大損してしまう…」
そのため、今回はあえて片方のパーツ(B側)だけを先にプリントすることにしました。片方だけなら約3時間・約155gの消費で済みます。まずはこれで実際にプリントしてみて、サイズ感やクリアランスの様子見(テストサンプル)を行います。

モノづくりの醍醐味は「試行錯誤」にある
3Dプリンターを使って自分が必要な治具を自分で設計し、すぐに具現化できる。これこそが現代のデジタルファブリケーションの醍醐味ですね。
10年前の過去の遺産(データ)が、現代の最新テクノロジーによってさらに高精度なツールとして蘇るプロセスは、作っていて非常にワクワクします。
4時間後、果たして一発でうまく機能する治具が刷り上がっているでしょうか? 結果はまた次回のブログ、またはYouTubeの動画でご報告します!
クールスマイルでは、こうした水冷服の開発だけでなく、日々のモノづくりの裏側も発信しています。YouTubeのチャンネル登録やブログのチェックもぜひよろしくお願いします!
それではまた!


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